2024年、越境ECの最新動向について


あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

2024年、越境ECの最新動向について、昨年の変化と今後の展望に迫りたいと思います。昨年は円安が進行し、輸出ビジネスである越境ECにおいて追い風となる年でした。さらに、コロナの収束と共に金融政策が引き締まり、海外経済はインフレの兆候が顕著となりました。特にシンガポールではインフレがピークに達し、足元でもその影響が続いています。


この状況は越境ECを利用する海外の方々にとって、円安とインフレが相まって、今まで以上に手頃な価格で日本商品を購入できる可能性を示しています。同じ価格帯で輸出されていた商品でも、現地価格では以前よりもリーズナブルに提供され、価格競争力が向上していると言えます。この好条件のもと、越境ECに参入する企業が増加しています。しかしその一方で、途中で取り組みを中断する企業も見受けられ、これは非常に残念な事態です。


国内EC同様に、越境ECでもサイトの開設だけではなく、長期的な取り組みとマーケティング視点が不可欠です。2023年は越境ECにとって順調な一年でしたが、2024年は為替の円安トレンドが鈍化し、インフレも前年度よりも緩やかになる見込みです。これにより、日本商品の価格競争力が低下する可能性があります。


東南アジアにおいては少額免税制度の撤廃が進んでおり、シンガポールに続きマレーシアでも2024年1月から少額免税制度が撤廃されました。これにより、関税政策が将来的に元に戻ることが基本的に考えにくくなり、今後も事業展開においては関税がかかる状況を踏まえた対応が必須となってきます。これにより、為替だけでなく各国の関税政策も価格競争力の鈍化に寄与する方向に向かいます。


ただし、全てが悪いニュースばかりではありません。越境ECに参入する企業が増加しているため、越境ECに取り組むための環境がより整備されています。販売サイトを制作するための技術的ハードルやコスト、モールを使用する場合には、そのハードルが一段と低くなりました。販売面だけでなく物流面においても、国内輸送と同様の手間で海外に発送することができるようになり、これらの流れは2024年も一段と加速する見込みです。


今後の展望を踏まえると、越境ECに参入する企業は単なるサイトの開設だけでなく、長期的な戦略の策定が不可欠です。サイトに商品を掲載するだけでは実績に繋がりません。商品の売れ行きには、戦略的なアプローチと着実な実績が求められます。そして商品の機能や性能の向上はもちろんのこと、商品のメリットをどの海外ユーザーにどのように訴求するか、コミュニケーションをどのようにとるかも考慮が必要です。国内マーケティングと同様に、越境ECでもマーケティングの視点が重要です。越境ECは販売チャネルの一環として位置づけ、市場選定、ターゲティング、広告戦略など包括的な海外販売戦略を構築することが求められます。


昨年に比べ、ビジネス環境が一段と厳しくなる見込みですが、海外展開や越境ECに参入を検討されている企業様、そして上記の内容において課題を抱えている企業様は、ぜひお気軽にご連絡ください。成功に向けてお手伝いさせていただきます。