自社サイト型とモール型のメリット、デメリット


越境ECへの参入方法は大きく二つあります。自分たちで越境ECサイトを立ち上げ参入する自社サイト型と、越境に対応したECモールを利用し参入するモール型です。

国内ECと同様にそれぞれメリット・デメリットがあり、自分たちの目的や海外進出フェーズに合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。誤った参入方法を選択してしまうと望んだ結果を得られなくなる場合があるだけでなく、コストと時間だけ消費してしまうということになるため注意が必要です。

なるべく導入コストを抑えて参入したい場合にはECモール型、独自プロモーションや独自ブランディングに力を入れたいなど、自由度を求める場合には自社サイト型での参入をおすすめしています。

自社サイトとモールサイトの違い

大きな違いは自由度と業務範囲です。自社サイト型では自社でコンセプトから要件定義、運用まで行えるため、目的に合わせた施策を自由に実行することができます。しかし、サイト構築や運用、保守まで幅広い業務をカバーすることが求められます。

一方でモールサイトでは自社サイト型と比較すると自由度が制限されます。しかし、サイト自身の運用や保守、外部からの集客などは不要です。自由度が低い代わりに業務範囲がかぎられており、リソースを一つの業務に集中させたい場合にはモールサイト型と相性が良いかもしれません。

コスト面でも自社サイト型には導入コストとして開発費用が必要となります。モール型では一般的には導入費用はほぼかからないことが多く、導入コストも大きな違いの一つです。

導入コストだけでなく運用コストにも違いがあります。自サイト型の場合には決済機能にかかる決済手数料だけ必要な場合が多く、その他手数料は発生しないことが一般的です。

一方でモール型の場合、決済手数料に加え、販売手数料や別の名目で合計10%程度の手数料を求められる場合がほとんどです。

自社サイト型メリット

自由度が高いためブランディングやキャンペーンなど、独自に企画、実行することができます。ターゲットが明確に決まっており、企業の価値やイメージを認知させたい場合には、自社サイト型がおすすめです。

サイトデザインやUIも自由に設計できるため細やかな施策を実行することができ、注文が入った場合の手数料を抑えることができます。決済方法によっては決済手数料が変動するため、どの決済サービスを利用するかは注意が必要です。

購入者と直接やりとり出来ることも大きな魅力です。

購入時にメルマガやフィードに登録する仕様に設計することもできます。そのような機能があれば、プッシュ型のプロモーションを実施することができ顧客獲得につながります。

サイトの設計次第では自由にカスタマイズすることができ、独自の施策を打ち出しやすい方法となります。

自社サイト型デメリット

自由度が高い半面、導入にかかる費用や時間が多く必要になります。

コンセプト設計から始まり、実際のサイト設計、開発と立ち上げに数か月かかり、費用も高額になることがほとんどです。

運用コストも手数料という観点でいうと決済サービス利用料のみとなりますが、利用料以外の費用が必要になるケースが一般的です。集客を行うための広告費用や、サーバーを維持するためのサーバー費用など、サイトを維持するための費用が必要になります。

もちろん、運用を担当する人材も必要です。デザインを更新するためのデザイナーや、サイト保守を行うためのエンジニア、顧客対応するカスタマーサポートなど、販売を担当する販売担当者以外に多くのスタッフが必要となります。

このように自社でカバーしなければならないため業務範囲が広く、業務を担うための人材の確保が必要になります。そして希望するサイトを構築するためには一定の技術力、知識を持っていることが前提となります。

外部に開発、設計を委託することもできますが、さらにまとまった資金が必要となるため慎重に判断する必要があります。

モール型メリット

導入コストと時間を掛けずに始められることが最大のメリットです。

モール型ではサイトはモール運営会社が運営を行っているため、サイト構築やデザインを行う必要がありません。モール内でアカウント作成が完了すれば販売をスタートすることができます。

モールへの集客も運営会社が行うためゼロから集客する必要がなく、立ち上げ開始から一定の訪問者を見込める可能性があります。もちろんモール内での集客は必要ですが、個別に契約や申し込みし、外部広告を使い集客する必要はありません。

また、ほとんどのモールサイトがモール負担での割引クーポンを発行しているケースが多く、出店者は費用面で負担なく割引クーポンを購入者に提供することができます。結果、購入につながる確立があがりCV率の改善につながります。

それぞれのモールサイトでは特徴を出すため、独自プロモーションを多く行っています。ライブストリーミング配信やゲームによるギフト付与、クーポン付与など独自性を出すため多岐にわたる施策を行っています。

このような施策を利用できる点もモール型の大きなメリットです。

モール型デメリット

デメリットは手数料が発生してしまう点です。

自社サイト型では決済代行会社に支払う決済手数料のみ発生するケースがほとんどですが、モールサイトを利用する場合、決済手数料の他に利用料などの名目で合計5%~10%必要になるのが一般的です。

これらの利用料についても固定ではなくモール側の状況次第で料率の変更などが行われます。このようにサイト機能やルールの決定権はモール運営会社にあり、出店者でコントロールすることはできません。

モール側から戦略的に利用料が減額されるなどのケースはありますが、そのような例外を除き基本的にはモール側の意向に従わなければなりません。

そして、越境ECを運営している運営会社は外資系が多いため急な仕様変更、ルール変更は日常的です。そういった急な変化にも対応できる体制づくりがモールサイトで成果を出し続けるためのポイントとなります。

まとめ

自社サイト型、モール型とどちらにもメリット、デメリットがあり、進出企業の状況に合わせて適切な販売方法を選択することが大切です。

初めて越境ECに取り組む企業には、導入コストが少なく、リスクが低いモール型での販売がおすすめです。一方すでに越境ECや海外販売に取り組んでいる企業にとっては、ブランディング向上のため自社サイト型がおすすめです。

どちらの方法を選択する場合でも自社の状況と目的に合わせ最適な方法を選ぶことが大切です。

そしてどちらの場合でも、いくら売上げれば利益が出るのか損益分岐点を把握し販売計画を作成することが大切です。計画通りに進まなかった場合の撤退基準も合わせて作成することをおすすめします。

そのような事業計画や、自社サイト型、モール型どちらを選んで良いか分からない場合など、疑問や課題をお持ちの場合はお気軽に弊社へお問い合わせください。