今、越境ECに参入するメリット


近年、インターネットの普及が世界中で進み、マーケットや物流システムの充実などを背景に越境ECの市場規模は拡大し、身近になってきました。
また、新型コロナウイルスの影響により、世界中で旅行なども制限され、他国の商品を気軽に購入することが難しくなりました。その結果、ロックダウン等により、自宅にいながら買い物をする機会が増え、ECを通じての他国製品の購入が活発になってきています。

購入率と「Made in Japan」の需要

日本製品は海外で質が良いとして人気のため、「Made in Japan」の商品を欲しがる海外の方が多数います。

代表的には、家電や日用品、輸送機器(自動車、バイクなどの機器)などが人気でした。しかし近年では、インスタント食品、お菓子、アパレルや化粧品など多様なジャンルが注目を浴びており、コロナ禍で在宅時間が長くなったことや日常生活の身近な部分に日本製品が入っていていることがわかります。

日本製品の需要がこれまで以上に高まっていることも、越境ECを盛り上げている一因といえるでしょう。


日本・米国・中国の3か国間における越境電子商取引の市場規模 │ 経済産業省のデータによりますと、2021年、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加。コロナ禍が影響し、増加を助長したとみられます。

なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆1,382億円(前年比9.7%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆5,783億円(前年比11.5%増)であり、年々増加しています。

例として、中国と米国を上げましたが、現在東南アジアは人口やスマホ端末普及率の増加、SNS利用率が高いため、今後越境EC拡大が予測されています。

また、日本ではなかなか売れないような商品が、実は海外では高く売れる可能性も多数あります。

まだまだ競合の少ない市場を見つけ、少しでも早く参入し、支持獲得することが今後のカギとなるでしょう。

日本は少子化、海外は人口増加

現在の日本は、少子高齢化と言われており、日本の消費市場が縮小していく可能性が高いです。

しかし世界で見ると、人口増加しており、人口大国が数多く存在します。

人口大国といえば、中国やインドが代表的です。

中国は人口14.12億人という世界でも圧倒的に人口が多い国であり、ECによる小売り額が世界最大です。市場規模と成長スピードが著しく、人口が多い分、インターネットの利用率やECの利用率も高いため商品がよく売れたりします。越境EC利用者の購入先は、アメリカに次いで日本は2番目に高いです。

インドは人口13.93億人という中国に次ぐ規模です。インターネットの契約者数が7億人突破し、急激なデジタル化が進んでいる国の1つです。また、経済発展で中間層が5割の7億人超になっており、近年では、マーケット拡大を見越して、世界中の外資が投資を始めている状況です。


そして、今注目すべき国の1つがインドネシアです。

2021年の人口は2.764億となっており、今後、人口増加が1番と予測されている国です。2030年まで世界で4番目の人口を維持するといわれており、2035年には3億人を超えることが予想されています。また、平均年齢は29.9歳で、30歳未満の人口率は50%、人口ボーナス状態です。スマホ保持世代の若年層率が高いため、今後右肩上がりに成長していくでしょう。
越境ECにより、欧米や東南アジア、中東諸国など、世界には多数の市場があり、海外の新規顧客を獲得し、将来的な収益を確立するのも一つの手段です。

実店舗を持たなくてもいい

ECサイトは、ネット環境さえあれば、店舗を運営することが可能です。実店舗を構えると、テナント代や、人件費等がかかるため費用が掛かります。また、海外となると尚更費用は高くなります。さらに、商品を日本から運んで販売するのは大きな手間がかかります。その運営にかかるコストと手間を大幅に減らすことができます。

越境ECならば、実店舗を持つというリスクを持たずに初期投資が少なく、挑戦できるので、参入のハードルは低くなるでしょう。

越境ECは消費税還付

日本国内で消費される商品やサービスに対して消費税がかかりますが、越境ECの場合、海外購入者へ販売が対象となるため、仕入れをはじめとする経費や支払った消費税が発生しません。条件を満たし手続きをすることにより、日本の消費税が免除され、消費税還付を受けることができます。 消費税還付には条件もあり、手続きを行い、還付にも時間がかかってしまいますが、全体で見ると、資金繰りに有利になり、税制上のメリットを得ることができるでしょう。

円安は追い風になる

1ドル=130円台と、歴史的な円安水準となっている中、円安により、海外消費者は日本製品を買い求めやすくなり、売り上げや購入者の増加につながっています。

円安は米ドルのみならず、各国通貨でも進んでいるため、越境ECサイトにより日本の商品購入のハードルは下がっているとみられます。円安効果により、元々人気の商品ではあるが、カメラレンズ、腕時計などの高額商品が割安感が強調され、売れ行き好調のようです。

また、越境ECでは外貨での受け取りのため、為替差益などによるリスクもありますが、昨今の円安の影響もあり、今が一番恩恵を受ける絶好のタイミングです。

さらに日本製品が安価に販売され、価格競争が高まることにより、新市場への進出をするなどの新たなビジネスチャンスが拡大できるでしょう。

現在勢いのあるスピードで伸びている越境ECですが、まだまだごく一部です。

国や商品にもよりますが、日本でビジネスを行うより、海外にむけて販売した方がライバルが少ないパターンもまだまだあります。

新型コロナウイルスにより、訪日外国人が減ったことで越境ECがインバウンドの代わりとなりつつあるため、今後も越境EC市場は成長していくでしょう。また、海外販売向けサービスが日々充実し始めているので、以前より参入のハードルは下がっています。競合他社より少しでも早く始めることでシェアを獲得でき、円安のチャンスも生かし、利益を生むことが今なら可能でしょう。